IMPOWER関数 – 複素数のべき乗を計算する関数
1. 使い方と活用例
IMPOWER関数は、指定した複素数を任意の実数または複素数の累乗(べき乗)にして、その結果を複素数として返す関数です。
複素指数関数や極形式による演算の一部として、数学・工学・信号処理などで使用されます。
2. 基本の書式
=IMPOWER(inumber, number)
3. 引数の説明
- inumber – 必須。累乗される複素数。文字列形式(例:”2+3i”、”4″、”0-1j” など)。
- number – 必須。べき指数。実数または複素数で指定可能(複素数の場合も文字列形式)。
4. 使用シーン
- 複素数の2乗や平方根、逆数などを求めたいとき。
- フーリエ変換や振動解析で、複素指数関数の形を再現したい場合。
- オイラーの公式や極形式を用いた複素演算のシミュレーション。
5. 応用のポイント
IMPOWER関数は、複素数 z に対して指数 n を与えたとき、z^n(z の n 乗)を複素形式で返します。
指数が 0.5 のときは平方根、-1 のときは逆数などとして応用できます。
指数も複素数で指定可能ですが、数式が複雑になるため注意が必要です。
6. 具体例とその解説
複素数 "2+2i"
の 2 乗を求める場合
=IMPOWER("2+2i", 2)
結果は 0+8i
になります((2+2i)^2 = 4 + 8i + 4i² = 4 + 8i – 4 = 0 + 8i)。
平方根(0.5 乗)を求める例
=IMPOWER("4", 0.5)
結果は 2+0i
となり、実数と同様に平方根を返します。
虚数指数を与えることも可能です。
=IMPOWER("2", "0+1i")
これは e^(i·ln2) に相当し、結果は回転を伴う複素数になります(約 0.769+0.639i
)。
7. 関連関数の紹介
- IMEXP関数 – 複素数の指数関数(e^z)を計算する関数
- IMSQRT関数 – 複素数の平方根を返す関数(IMPOWERと等価:指数0.5)
- IMPRODUCT関数 – 複素数の掛け算を行う関数
- IMDIV関数 – 複素数の割り算(逆数など)を行う関数
- COMPLEX関数 – 実部と虚部から複素数を作成する関数
8. まとめ
IMPOWER関数は、複素数の任意べき乗を柔軟に計算できる関数であり、平方根・逆数・高次乗・複素指数など幅広い応用に対応します。
IMEXPやIMLN関数と併用すれば、複素指数演算の高度な処理も簡潔に表現できます。
9. 対応バージョン
Excel 2003以降で使用可能です。
Excel 365、Excel 2019、Excel Online にも対応しています。