HYPGEOM.DIST関数 – 超幾何分布の確率を求める関数
1. 使い方と活用例
HYPGEOM.DIST関数は、超幾何分布に基づいて、特定の成功数が得られる確率を計算する関数です。
超幾何分布とは、「無作為抽出された標本の中に、特定の属性を持つ要素が含まれる確率」を求める分布で、
抽選・選抜・不良品の検出など、復元しない抽出のシナリオに適しています。
2. 基本の書式
=HYPGEOM.DIST(sample_s, number_sample, population_s, number_pop, cumulative)
3. 引数の説明
- sample_s – 標本中に含まれる成功(該当)要素の数。
- number_sample – 抽出された標本のサイズ(標本数)。
- population_s – 母集団全体における成功(該当)要素の数。
- number_pop – 母集団全体のサイズ。
- cumulative – TRUEの場合は累積分布関数、FALSEの場合は確率質量関数(ちょうどの確率)を返します。
4. 使用シーン
- 箱の中からランダムにボールを取り出し、特定の色が出る確率を求めたいとき
- 製品の中から無作為に選んだサンプルに、不良品が何個含まれるかの確率を求めたいとき
- 復元抽出ではなく、有限の集団から選ぶ状況(カードゲーム、検品など)
5. 応用のポイント
超幾何分布は、標本抽出が復元されない(without replacement)点が特徴で、
一般的な二項分布(復元抽出)とは異なります。
「有限の母集団から無作為に要素を選ぶ」ような現実的なケースに適しており、
累積かどうか(cumulative引数)を状況に応じて使い分けることで柔軟な分析が可能です。
6. 具体例とその解説
=HYPGEOM.DIST(2, 5, 8, 20, FALSE)
この式では、20個の中に「成功」要素が8個ある母集団から、5個を無作為に選び、
その中にちょうど2個の成功要素が含まれる確率を求めます(離散的な確率)。
=HYPGEOM.DIST(2, 5, 8, 20, TRUE)
上記と同じ条件で、成功数が2以下となる累積確率(0個、1個、2個のいずれかである確率)を求めます。
7. 関連関数の紹介
- BINOM.DIST関数 – 二項分布の確率を求める関数(復元抽出向け)
- POISSON.DIST関数 – ポアソン分布を使って希少イベントの確率を求める関数
- CHISQ.TEST関数 – カイ二乗検定を実施する関数
- NORM.DIST関数 – 正規分布の確率を求める関数
8. まとめ
HYPGEOM.DIST関数は、「限られた数の中からランダムに選ぶ」状況において、
特定の属性を持つ要素が選ばれる確率を正確に求めることができます。
検品や品質管理、カードゲームやくじ引きのようなシミュレーションにも活用できます。
cumulative引数をうまく使い分けることで、柔軟な確率分析が可能になります。
9. 対応バージョン
HYPGEOM.DIST関数は、Excel 2010以降で使用可能です。
Excel 2007以前では、旧関数 HYPGEOMDIST が使用されていましたが、現在は非推奨です。