HARMEAN関数 – 複数の数値の調和平均を求める関数
1. 使い方と活用例
HARMEAN関数は、指定した数値群の調和平均(harmonic mean)を求める関数です。
調和平均は、数値の逆数の平均の逆数で求められ、比率や割合、速度などを平均化する際に適しています。
特に、「一定距離を異なる速度で移動したときの平均速度」などに使用されます。
2. 基本の書式
=HARMEAN(number1, [number2], ...)
3. 引数の説明
- number1, number2, … – 調和平均を求めたい正の数値、または数値を含むセル範囲(最大255個まで)。
4. 使用シーン
- 異なる速度で移動した場合の平均速度の算出
- 平均価格(単価)が異なる商品の価格統計
- 比率や割合を正しく平均化したいとき
5. 応用のポイント
HARMEAN関数は、すべての値が正の数でなければ使用できません。
0や負の数が含まれているとエラーになります。
また、単純な算術平均(AVERAGE)と異なり、値が大きいほど平均に与える影響が小さくなるという特徴があります。
このため、時間や単価、効率のような逆数的な意味合いを持つデータの平均に適しています。
6. 具体例とその解説
=HARMEAN(60, 30)
この式では、60km/hと30km/hでそれぞれ同じ距離を移動したときの平均速度を求めます。
算術平均は45km/hになりますが、調和平均は正しく「40」になります(2 ÷ (1/60 + 1/30) = 40)。
=HARMEAN(A2:A6)
A2:A6に正の数値が入力されている場合、それらの調和平均が求められます。
速度や価格などのデータに対してまとめて処理するのに便利です。
7. 関連関数の紹介
- AVERAGE関数 – 一般的な算術平均を求める関数
- GEOMEAN関数 – 幾何平均(相乗平均)を求める関数
- MEDIAN関数 – 中央値を求める関数(外れ値の影響が少ない)
- MODE.SNGL関数 – 最頻値(もっとも多く現れる値)を返す関数
8. まとめ
HARMEAN関数は、「同じ距離で異なる速度」「同じ量で異なる価格」などの場面において、現実に即した平均を算出するのに適した関数です。
単純な平均では誤解を生む可能性のある比率的なデータに対して、正確な分析を実現できます。
9. 対応バージョン
HARMEAN関数は、Excel 2007以降のすべてのバージョンで使用可能です。
Microsoft 365 や Excel for Web にも対応しています。