GAUSS関数 – 標準正規分布における 0 から z までの累積確率を求める関数
1. 使い方と活用例
GAUSS関数は、平均0、標準偏差1の標準正規分布において、
0から指定したz値までの範囲に対応する累積確率を返す関数です。
NORM.S.DIST関数(標準正規分布)の特殊ケースとして、より簡潔に確率を求めたいときに使われます。
2. 基本の書式
=GAUSS(z)
3. 引数の説明
- z – 累積確率を求めたいzスコア(標準正規分布における値)。正負どちらでも指定可能です。
4. 使用シーン
- 標準正規分布で「0からzまでの確率」を簡単に計算したいとき
- 標準化されたデータの確率範囲を確認したいとき
- 正規分布の左右対称性を使って確率を比較・計算したいとき
5. 応用のポイント
GAUSS関数は、次の式と同等の結果を返します。
=NORM.S.DIST(z, TRUE) - 0.5
つまり、「標準正規分布の中心(0)からzまでの累積確率」であり、両側の分布ではなく、片側のみの確率に相当します。
zが正のときは右側、負のときは左側の領域となります。
全体の確率は最大0.5(±∞まで)となり、中央からの確率の広がりを見たいときに便利です。
6. 具体例とその解説
=GAUSS(1.96)
この式は、標準正規分布において z = 1.96 の範囲までの確率(0から1.96)を返します。
結果はおよそ 0.475 と表示され、これは「中央(0)から1.96までの確率」が47.5%であることを意味します。
=GAUSS(-1.96)
この式では、z = -1.96 までの確率(0から左側)を返します。
結果も同様に 0.475 となり、左右対称性が確認できます。
7. 関連関数の紹介
- NORM.S.DIST関数 – 標準正規分布の累積確率または確率密度を返す関数
- NORM.DIST関数 – 任意の平均・標準偏差の正規分布の確率を求める関数
- NORM.S.INV関数 – 標準正規分布の逆関数。確率からz値を求める
- STANDARDIZE関数 – 値をzスコアに標準化する関数
8. まとめ
GAUSS関数は、標準正規分布における「中心からの確率範囲」を手軽に求めるための便利な関数です。
複雑な関数を使わずに、zスコアからの累積確率を瞬時に求められるため、統計や検定の補助計算などで役立ちます。
NORM.S.DIST関数とセットで理解すると、正規分布の解析がよりスムーズになります。
9. 対応バージョン
GAUSS関数は、Excel 2013以降で使用可能です。
それ以前のバージョンでは使用できないため、=NORM.S.DIST(z, TRUE) - 0.5
で代用してください。