FORECAST.LINEAR関数 – 線形回帰に基づいて将来の値を予測する関数
1. 使い方と活用例
FORECAST.LINEAR関数は、既知の値の傾向をもとに、将来の値を線形回帰モデルで予測する関数です。
これは、y = ax + b の一次関数の形で予測値を算出するもので、データに明確な直線的傾向がある場合に特に有効です。
2. 基本の書式
=FORECAST.LINEAR(x, known_y's, known_x's)
3. 引数の説明
- x – 必須。予測対象となる x の値(独立変数)
- known_y’s – 必須。既知の y の値(従属変数)
- known_x’s – 必須。既知の x の値(独立変数)
4. 使用シーン
- 売上や在庫数など、過去の数値実績に基づいて将来の数値を予測したいとき。
- 時間に対する傾向(直線的な増減)をモデル化したい場合。
- 成長予測、トレンド分析、単純な予測モデル構築時など。
5. 応用のポイント
FORECAST.LINEAR関数は、LINEST関数やTREND関数と同様に回帰分析の一部を自動的に処理します。
x の範囲外(外挿)に対しても予測が可能ですが、その場合は予測の信頼性が下がることに注意が必要です。
また、既知の x と y の数は一致している必要があります。
6. 具体例とその解説
次のようなデータがあるとします。
A2:A6(年) → {1, 2, 3, 4, 5}
B2:B6(売上)→ {100, 120, 140, 160, 180}
6年目の売上を予測する場合
=FORECAST.LINEAR(6, B2:B6, A2:A6)
結果は 200
になります。これは直線的に 1年ごとに20ずつ成長している傾向から予測された値です。
7. 関連関数の紹介
- FORECAST関数 – 旧形式の線形予測関数(FORECAST.LINEAR の前身)
- TREND関数 – 複数の将来の値をまとめて予測する関数
- LINEST関数 – 回帰分析の係数や誤差情報を返す関数
- FORECAST.ETS関数 – 季節性を考慮した指数平滑法による予測
- GROWTH関数 – 指数関数モデルによる予測を行う関数
8. まとめ
FORECAST.LINEAR関数は、過去のデータに直線的な傾向がある場合に有効なシンプルな予測関数です。
予測結果を簡単に導き出せる一方で、モデルの適合性(直線的かどうか)の確認も重要です。
9. 対応バージョン
Excel 2016以降のすべてのバージョンで使用可能です。
Excel 365、Excel 2019、Excel Online にも対応しています。
※Excel 2013以前では FORECAST関数 を使用してください(同等の機能)。