FORECAST.ETS.STAT関数 – ETS法による予測に関連する統計情報を返す関数
1. 使い方と活用例
FORECAST.ETS.STAT関数は、指数平滑法(ETS法)を用いた予測に対して、予測の品質や精度に関する統計指標を返す関数です。
予測そのものを返すのではなく、ETSモデルに基づいた信頼性評価(RMSE、MAEなど)を行いたい場合に活用されます。
2. 基本の書式
=FORECAST.ETS.STAT(target_date, values, timeline, statistic_type, [data_completion], [aggregation])
3. 引数の説明
- target_date – 必須。予測する対象の日付または時点。
- values – 必須。既知の値(予測対象の実績データ)。
- timeline – 必須。各データポイントに対応する日付や時系列。
- statistic_type – 必須。返す統計指標の種類を表す番号(1〜8)。
- [data_completion] – 省略可能。データの欠損補完の有無(TRUE=補完、FALSE=補完しない、既定値はTRUE)。
- [aggregation] – 省略可能。同一時点に複数データがある場合の集約方法(例:AVERAGE、SUM、COUNTなど)。
4. 使用シーン
- ETS法で作成した予測モデルの精度や信頼性を評価したい場合。
- 予測に基づく意思決定に先立ち、モデルの統計的妥当性を確認したいとき。
- 複数モデル間で予測精度を比較したい場合。
5. 応用のポイント
statistic_type 引数には、以下の数値を指定して統計情報を取得します。
- 1 – 平均絶対誤差(MAE)
- 2 – 平均二乗誤差(MSE)
- 3 – 平方根平均二乗誤差(RMSE)
- 4 – ステップサイズ
- 5 – ストレッチ係数(ETSの分解による季節性など)
- 6 – 平滑化係数 Alpha(レベル)
- 7 – 平滑化係数 Beta(傾き)
- 8 – 平滑化係数 Gamma(季節性)
予測対象の品質評価だけでなく、ETSアルゴリズム内部の学習係数の可視化にも使える点が特長です。
6. 具体例とその解説
次のような式で RMSE(平方根平均二乗誤差)を求める例
=FORECAST.ETS.STAT(A20, B2:B19, A2:A19, 3)
ここでは、A2:A19 が日付、B2:B19 が実績値、A20 が予測対象日であり、3
は RMSE を指定しています。
7. 関連関数の紹介
- FORECAST.ETS関数 – ETS法による予測値を返す関数
- FORECAST.ETS.CONFINT関数 – 予測値に対する信頼区間を返す関数
- FORECAST.ETS.SEASONALITY関数 – 自動検出された季節性の周期を返す関数
- FORECAST.ETS.PI関数 – 予測値の信頼境界を返す関数
- FORECAST.LINEAR関数 – 線形回帰による予測値を返す関数
8. まとめ
FORECAST.ETS.STAT関数は、ETS法を用いた時系列予測において、モデルの精度・信頼性を数値で評価するための関数です。
予測の裏付けや比較、シミュレーションの精度管理に役立ちます。
9. 対応バージョン
Excel 2016以降、Excel 365、Excel Online で使用可能です。
Excel 2013以前のバージョンでは使用できません。