FLOOR.PRECISE関数 – 常に下方向に切り捨てる丸め関数
1. 使い方と活用例
FLOOR.PRECISE関数は、数値を指定された倍数の最も近い小さい数に切り捨てる関数です。
正の数・負の数に関係なく、常に絶対値が大きくなる方向(ゼロから遠ざかる方向)へ切り捨てられます。
FLOOR関数やFLOOR.MATH関数とは異なり、significanceの符号に依存しない安定した処理が可能です。
2. 基本の書式
=FLOOR.PRECISE(number, [significance])
3. 引数の説明
- number – 丸めたい数値を指定します。
- significance(省略可能)– 切り捨てる単位を指定します。省略した場合は1になります。
4. 使用シーン
- 負の値を含む金額を常にゼロから離れる方向で切り捨てたい場合
- 倍数単位での正確な端数処理が必要な場合
- 正負を問わず一貫性のある切り捨てルールを適用したい場合
5. 応用のポイント
FLOOR.PRECISE関数は、significanceが正でも負でも同じ動作をする点が特徴です。
また、負の数値に対しても常に小さい方向(ゼロから遠ざかる)に丸められるため、金融や会計の精密な処理で役立ちます。
たとえば-7.1を2単位で処理した場合、「-8」となり、FLOOR関数のような符号エラーの心配がありません。
6. 具体例とその解説
=FLOOR.PRECISE(7.3, 2)
この式では、7.3を2の倍数で切り捨てて「6」を返します。
=FLOOR.PRECISE(-7.3, 2)
この式では、-7.3を2の倍数で切り捨てて「-8」を返します。
負の数でも常にゼロから離れる方向に切り捨てられます。
=FLOOR.PRECISE(5.8)
significanceを省略した場合、デフォルトで1が使われ、「5」が返されます。
7. 関連関数の紹介
- FLOOR関数 – 指定した倍数に切り捨てる基本的な関数。符号によって動作が異なる
- FLOOR.MATH関数 – 負の数への処理をmode引数で制御できる汎用的な関数
- CEILING.PRECISE関数 – 指定した倍数に常に上方向へ切り上げる関数
- ROUND関数 – 指定された桁数に四捨五入する関数
8. まとめ
FLOOR.PRECISE関数は、絶対値が大きくなる方向に確実に切り捨てる点で、非常に安定した動作を持つ関数です。
特に負の数やsignificanceの符号の違いで誤動作するリスクを回避したい場面で有効です。
シンプルながら高精度な処理が可能で、業務用途にも適しています。
9. 対応バージョン
FLOOR.PRECISE関数は、Excel 2010以降で使用可能です。
それ以前のバージョンでは使用できないため注意してください。