FISHERINV関数 – フィッシャー変換の逆関数(z値から相関係数を求める)
1. 使い方と活用例
FISHERINV関数は、FISHER関数で変換されたz値から、もとの相関係数(r)を求めるための逆関数です。
統計解析において、相関係数の正規化および推定値の逆変換を行う際に使用されます。
主に相関の検定や信頼区間の計算など、心理学・教育・生物統計などの分野で活用されます。
2. 基本の書式
=FISHERINV(z)
3. 引数の説明
- z – フィッシャーz変換後の値(FISHER関数の出力値)を指定します。
4. 使用シーン
- FISHER関数で変換したzスコアをもとの相関係数に戻したいとき
- 統計分析ソフトから得られたz値をExcelで可視化・再計算したいとき
- 相関係数の信頼区間や有意性を検討するために逆変換を行いたいとき
5. 応用のポイント
FISHERINV関数は、FISHER関数の結果を「元のスケール(-1~1の範囲)」に戻すために使います。
相関係数rをFISHER関数でzスコアに変換し、統計処理を行った後、その結果を再びrに戻すときに便利です。
この関数は数式的には以下のような逆変換を行っています。
r = (e^(2z) - 1) / (e^(2z) + 1)
変換されたzが非常に大きいまたは小さい場合、結果は±1に近づきます。
6. 具体例とその解説
=FISHERINV(0.5493)
この式では、z = 0.5493 のときの元の相関係数 r を求めます。
計算結果はおおよそ 0.5 となり、これは FISHER(0.5) ≒ 0.5493 の逆変換となります。
=FISHERINV(FISHER(0.8))
このように、FISHERとFISHERINVを組み合わせれば、r→z→rの変換が確認できます。
結果は元の値 0.8 に戻るはずです(小数点以下の誤差を除く)。
7. 関連関数の紹介
- FISHER関数 – 相関係数rをフィッシャーz変換する関数
- STANDARDIZE関数 – 平均と標準偏差に基づいてzスコアを求める関数(一般的な正規化)
- PEARSON関数 – 2系列の間のピアソンの相関係数を求める関数
- CORREL関数 – 2つのデータ系列の相関係数を求める関数(PEARSONと同等)
8. まとめ
FISHERINV関数は、統計においてzスコアから相関係数へと変換し直す際に使う専門的な関数です。
FISHER関数とセットで使用することが多く、相関分析の過程で欠かせないツールです。
Excelでもこのような高度な統計処理ができる点は、分析の幅を広げる大きなポイントです。
9. 対応バージョン
FISHERINV関数は、Excel 2007以降のすべてのバージョンで使用可能です。
旧バージョンを含め、広くサポートされています。