FISHER関数 – 相関係数をFisher変換して正規分布に近づける関数
1. 使い方と活用例
FISHER関数は、相関係数(-1より大きく、1より小さい値)を、Fisherのz変換によって正規分布に従う形に変換する関数です。
この変換は、相関係数の信頼区間の計算や、統計的な比較を行う際に有用です。
2. 基本の書式
=FISHER(x)
3. 引数の説明
- x – 必須。変換対象の相関係数(-1 < x < 1)。この範囲外の値を指定すると
#NUM!
エラーになります。
4. 使用シーン
- 相関係数を正規分布に変換して、z検定や信頼区間を求めたいとき。
- 複数の相関係数の差を統計的に比較したい場合。
- 非線形な相関係数の分布を線形的に扱いたい場面。
5. 応用のポイント
Fisher変換の計算式は以下の通りです:
FISHER(x) = 0.5 × LN((1 + x) / (1 - x))
この変換により、相関係数 x が正規分布に従うよう近似され、統計解析に適した形になります。
なお、逆変換を行うには FISHERINV関数 を使用します。
6. 具体例とその解説
相関係数 0.8
をFisher変換する。
=FISHER(0.8)
結果は 1.098612
になります。
相関係数 -0.5
の場合
=FISHER(-0.5)
結果は -0.549306
になります。
相関係数 1
や -1
を入力した場合
=FISHER(1)
結果は #NUM!
エラーになります(定義域外)。
7. 関連関数の紹介
- FISHERINV関数 – Fisher変換された値を相関係数に戻す関数
- CORREL関数 – 2つの配列の相関係数を計算する関数
- PEARSON関数 – Pearsonの積率相関係数を返す関数
- NORM.S.DIST関数 – 標準正規分布の確率値を返す関数
- Z.TEST関数 – z検定の結果(p値)を返す関数
8. まとめ
FISHER関数は、相関係数を正規分布に適した形に変換するための重要な関数です。
相関に関する統計的な信頼性評価や比較を行いたい場合に欠かせない関数です。
9. 対応バージョン
Excel 2003以降すべてのバージョンで使用可能です。
Excel 365、Excel 2019、Excel Online にも対応しています。