FINV関数 – F分布の右側累積確率に対応する分位点を返す関数
1. 使い方と活用例
FINV関数は、F分布における右側累積確率に対応するF値(分位点)を返す関数です。
これは右片側F検定で、有意水準に対応する臨界値を求める際に使用されていましたが、Excel 2010以降ではF.INV.RT関数が推奨されています。
2. 基本の書式
=FINV(probability, deg_freedom1, deg_freedom2)
3. 引数の説明
- probability – 必須。右側の累積確率(通常は有意水準)。
- deg_freedom1 – 必須。分子の自由度(正の整数)。
- deg_freedom2 – 必須。分母の自由度(正の整数)。
4. 使用シーン
- Excel 2007以前の環境で、F検定における臨界値を求めたい場合。
- 旧式のワークブックやマクロで使用されているF検定ロジックの維持。
5. 応用のポイント
FINV関数は、Excel 2010以降では非推奨(廃止予定)となっており、代わりに F.INV.RT関数 が提供されています。
基本的な動作は F.INV.RT と同じであり、指定した有意水準に対応する F分布の上側臨界値を返します。
例えば、有意水準0.05(5%)で検定を行う場合、FINV(0.05, df1, df2)
を使って臨界値を求めます。
6. 具体例とその解説
右側確率 0.05、分子の自由度 5、分母の自由度 10 に対応するF値を求める場合
=FINV(0.05, 5, 10)
結果は 3.3258
となります。
これは、F検定における臨界F値であり、検定統計量がこの値を超える場合に帰無仮説を棄却します。
7. 関連関数の紹介
- F.INV.RT関数 – FINV関数の後継。右側累積確率に基づく分位点を返す関数
- F.DIST関数 – F分布の累積確率または密度関数を返す関数
- F.TEST関数 – 2つの母分散の差を検定する関数
- CHIDIST関数 – カイ二乗分布における右側確率を返す旧関数
- TINV関数 – t分布における両側分位点を返す旧関数(T.INV.2Tが後継)
8. まとめ
FINV関数は、F分布に基づいて右側確率からF値を求めるための旧式の統計関数です。
Excel 2010以降では F.INV.RT関数 を使用するよう移行が推奨されています。
レガシーファイルのメンテナンス時以外では、できるだけ新関数を使用するようにしましょう。
9. 対応バージョン
Excel 2003 ~ Excel 2007 で正式サポート。
Excel 2010以降でも使用可能ですが非推奨関数です。
Excel 365、Excel 2019、Excel Online では F.INV.RT関数の使用を推奨します。