F.INV関数 – 指定した確率に対応するF分布の逆関数(分位点)を返す関数
1. 使い方と活用例
F.INV関数は、F分布における累積確率に対応する値(分位点)を返す関数です。
これは統計的検定(特にF検定)や分散分析(ANOVA)で、有意水準に対応する臨界値を求める際に使用されます。
2. 基本の書式
=F.INV(probability, deg_freedom1, deg_freedom2)
3. 引数の説明
- probability – 必須。累積確率(0〜1の間の数値)。
- deg_freedom1 – 必須。分子の自由度(正の整数)。
- deg_freedom2 – 必須。分母の自由度(正の整数)。
4. 使用シーン
- F検定の結果を評価するための臨界値を求めたいとき。
- ANOVA(分散分析)における棄却域の境界値を計算したい場合。
- 累積確率が与えられているとき、それに対応するF値を算出したいとき。
5. 応用のポイント
F.INV関数は累積分布関数(CDF)の逆関数として機能します。
たとえば、probability に 0.95 を指定すると、F値がその確率に達するための上限(95%信頼水準の分位点)を返します。
片側検定でよく使われるため、両側検定では必要に応じて補正が必要です。
6. 具体例とその解説
累積確率 0.95、分子の自由度 5、分母の自由度 10 に対応するF値を求める場合
=F.INV(0.95, 5, 10)
結果は 3.3258
となります。
これは、自由度5と10のF分布において、95%の確率以下となる境界値(臨界値)を示します。
7. 関連関数の紹介
- F.INV.RT関数 – 右側確率に基づくF分布の逆関数(右片側検定向け)
- F.DIST関数 – F分布の累積分布関数または確率密度関数を返す関数
- F.TEST関数 – 2つのデータセットの分散差をF検定で評価する関数
- CHISQ.INV関数 – カイ二乗分布の逆関数
- T.INV関数 – t分布における逆関数(分位点)
8. まとめ
F.INV関数は、F分布における指定された累積確率に対応する臨界値を返す分析向け関数です。
統計検定やモデル評価の際に必要なカットオフポイントを決定するために不可欠です。
9. 対応バージョン
Excel 2010以降で使用可能です(それ以前では FINV 関数が使用されていました)。
Excel 365、Excel 2019、Excel Online にも対応しています。