CUBEMEMBER関数 – OLAPキューブからメンバーまたはタプルを返す関数
1. 使い方と活用例
CUBEMEMBER関数は、OLAPキューブ内のメンバー(次元の要素)やタプル(複数次元の組み合わせ)を指定し、その情報をセルに表示するための関数です。
PowerPivotやSQL Server Analysis Services(SSAS)と接続されたExcelでの多次元分析に用いられます。
2. 基本の書式
=CUBEMEMBER(connection, member_expression, )
3. 引数の説明
- connection – データソースへの接続名を文字列で指定します(例:”SalesCube”)。
- member_expression – キューブ内のメンバーまたはタプルをMDX形式で指定します(例:”[製品].[カテゴリ].&[飲料]”)。
- caption(省略可能) – セルに表示するキャプション(表示名)を文字列で指定します。
4. 使用シーン
- 分析用ピボットテーブルのように、特定の項目を手動で指定してレポートを作成したい場合
- CUBEVALUE関数と組み合わせて、動的な値の抽出を行いたい場合
5. 応用のポイント
member_expression には、単一のメンバーだけでなく、複数のメンバーをカンマでつなげたタプル形式(例:("[地域].[国].&[日本]", "[時間].[年].&[2024]")
)も指定可能です。
また、CUBEMEMBER関数で得られた結果は、CUBEVALUE関数の引数として使用できるため、動的レポートの構築が可能になります。
指定が正しくない場合や、接続が失敗している場合は #N/A エラーや #NAME? エラーが表示されます。
6. 具体例とその解説
=CUBEMEMBER("SalesCube", "[製品].[カテゴリ].&[飲料]", "飲料カテゴリ")
この式は、「SalesCube」キューブから「製品」次元の「カテゴリ」階層にある「飲料」というメンバーを取得し、セルには「飲料カテゴリ」と表示します。
このようにメンバーを明示的に指定することで、レポートの行や列を動的に定義できます。
7. 関連関数の紹介
- CUBEVALUE関数 – 条件に一致するキューブからの値を取得する関数
- CUBESET関数 – メンバーの集合(セット)を定義する関数
- CUBESETCOUNT関数 – セット内のアイテム数を返す関数
- CUBEMEMBERPROPERTY関数 – メンバーのプロパティを返す関数
- CUBEKPIMEMBER関数 – KPIの特定の要素(値、目標、状態など)を返す関数
8. まとめ
CUBEMEMBER関数は、キューブの特定メンバーや複数次元のタプルを指定してデータを取得する強力な手段です。
他のCUBE関数との連携により、柔軟で動的な分析レポートの構築が可能になります。
正しい接続設定とMDX形式の理解が、正確な使用には欠かせません。
9. 対応バージョン
Excel 2007以降で使用可能です。
OLAP接続機能が利用できるExcelバージョンと環境が必要です。