CHISQ.TEST関数 – 観測値と期待値のカイ二乗検定を行う関数
1. 使い方と活用例
CHISQ.TEST関数は、観測データと期待データの差異が偶然によるものかどうかを統計的に検定するための関数です。
適合度検定や独立性の検定などに用いられ、調査結果が理論値と有意に異なるかを判断する際に役立ちます。
2. 基本の書式
=CHISQ.TEST(actual_range, expected_range)
3. 引数の説明
- actual_range – 観測された実際のデータの範囲。
- expected_range – 理論上期待されるデータの範囲。観測値と同じサイズの配列である必要があります。
4. 使用シーン
- アンケート結果が理論分布(例:均等分布)と一致しているかを検定したいとき
- 2つの変数間に統計的な独立性があるかどうかを判断したいとき
- クロス集計表に基づいて、カテゴリー間の関係性を検証したいとき
5. 応用のポイント
CHISQ.TEST関数は、帰無仮説が正しいとしたときに、観測された差異がどれだけ稀か(=p値)を返します。
通常、有意水準(例:0.05)と比較し、p値がそれ未満なら帰無仮説を棄却します。
入力される期待値の計算は、別途ユーザー側で行う必要があります(特に独立性の検定では、各セルに対して (行合計×列合計)/総合計 の計算が必要です)。
6. 具体例とその解説
=CHISQ.TEST(A2:B4, D2:E4)
この式は、セル範囲A2:B4にある観測値と、D2:E4にある期待値を比較し、カイ二乗検定を行ってp値(有意確率)を返します。
例えば、結果が 0.03 であれば、5%有意水準で帰無仮説(期待値との一致)は棄却されます。
7. 関連関数の紹介
- CHISQ.DIST.RT関数 – カイ二乗分布の右片側累積確率を求める関数
- CHISQ.INV.RT関数 – 右片側カイ二乗分布の逆関数(臨界値)を求める関数
- CHISQ.INV関数 – 左片側累積確率に対応するカイ二乗値を求める関数
- T.TEST関数 – 2群の平均の差を検定するt検定関数
8. まとめ
CHISQ.TEST関数は、観測値と期待値のズレが統計的に有意かどうかを評価するための関数です。
適合度や独立性の検定を簡単に行うことができ、調査や実験の信頼性を高めるのに非常に役立ちます。
ただし、期待値は自動計算されないため、事前に正しく算出しておく必要があります。
9. 対応バージョン
Excel 2010以降で使用可能です。
Excel 2007以前ではCHITEST関数が同様の機能を提供していましたが、現在は非推奨です。