BETA.DIST関数 – 統計

BETA.DIST関数 – ベータ分布の確率密度または累積分布を返す関数


1. 使い方と活用例

BETA.DIST関数は、指定した値に対するベータ分布の確率密度関数(PDF)または累積分布関数(CDF)の値を返す関数です。
確率や割合の変動のモデル化、信頼区間の分析、ベイズ統計など、統計学的な用途に広く使用されます。

2. 基本の書式

=BETA.DIST(x, α, β, 累積, [A], [B])

3. 引数の説明

  • x – 分布を評価する点。A ≤ x ≤ B の範囲で指定。
  • α(アルファ) – ベータ分布の第1形状パラメータ(正の実数)。
  • β(ベータ) – ベータ分布の第2形状パラメータ(正の実数)。
  • 累積 – 累積分布関数を使うかどうかを指定。
    • TRUE:累積分布関数(CDF)を返す
    • FALSE:確率密度関数(PDF)を返す
  • A(省略可)– x の最小値(既定値は 0)。
  • B(省略可)– x の最大値(既定値は 1)。

4. 使用シーン

  • 信頼区間や事前確率の分布を表現したいとき(ベイズ統計)
  • 比率や割合の分布をモデリングしたいとき
  • 品質管理や確率モデルでの変動範囲の評価に

5. 応用のポイント

形状パラメータ αβ の組み合わせによって、ベータ分布の形状は大きく変化します(左右非対称・山形・凹型など)。
[A][B] を省略すると、標準ベータ分布(範囲 0~1)になります。
x が範囲外にある場合、結果は #NUM! エラーになります。

6. 具体例とその解説

=BETA.DIST(0.5, 2, 5, TRUE)

標準ベータ分布(範囲 0~1)で、x=0.5 の累積分布関数(CDF)を求めます。結果は 約0.8906

=BETA.DIST(0.7, 3, 3, FALSE)

x=0.7 のときの確率密度関数(PDF)の値を求めます。結果は 約2.205

=BETA.DIST(15, 2, 4, TRUE, 10, 20)

範囲 10~20 のベータ分布における、x=15 の累積確率を返します。結果は 0.816 付近。

7. 関連関数の紹介

  • BETA.INV関数 – 累積ベータ分布の逆関数(パーセンタイル)を返す関数
  • BETADIST関数 – 旧形式のベータ分布関数(非推奨)
  • NORM.DIST関数 – 正規分布の確率密度または累積値を求める関数
  • GAMMA.DIST関数 – ガンマ分布を求める関数(ベータ分布の一般化)

8. まとめ

BETA.DIST関数は、ベータ分布のPDFまたはCDFを柔軟に計算できる統計関数です。
確率や割合に関する分析に適しており、統計的モデリングやベイズ推定で非常に有効です。
旧関数 BETADIST よりも引数の柔軟性が高く、より多用途に対応しています。

9. 対応バージョン

BETA.DIST関数は、Excel 2010以降のバージョンで使用可能です。
Microsoft 365、Excel for Mac、Web版Excelでも対応しています。
Excel 2007以前では使用できません。