ATANH関数 – 双曲線正接関数の逆関数(アークハイパーボリックタンジェント)を返す関数
1. 使い方と活用例
ATANH関数は、指定された数値に対する双曲線正接関数(tanh)の逆関数(atanh)の値をラジアン単位で返す関数です。
双曲線関数を使った数理モデルや統計解析、物理・工学における計算など、専門的な分野で用いられる関数です。
2. 基本の書式
=ATANH(数値)
3. 引数の説明
- 数値 – atanh を計算したい値。−1より大きく、1より小さい範囲の数値である必要があります。
4. 使用シーン
- 統計解析で Fisher の z 変換などに用いるとき
- 双曲線関数を使う微分方程式や物理的モデルの逆計算に
- ニューラルネットワークの活性化関数(tanh)の逆関数が必要なとき
5. 応用のポイント
ATANH関数は、以下の数式で計算されます:
atanh(x) = 0.5 × LN((1 + x) / (1 − x))
この関数の定義域は −1 < x < 1 です。
これを超える数値や境界値(−1, 1)を指定すると、#NUM! エラーが返されます。
6. 具体例とその解説
=ATANH(0.5)
tanh(x) = 0.5 となる x を求めます。結果は 約0.5493。
=ATANH(-0.9)
tanh(x) = −0.9 となる x を求めます。結果は 約−1.4722。
=ATANH(1)
定義域外のため、#NUM! エラーになります。
7. 関連関数の紹介
- TANH関数 – 双曲線正接関数(tanh)を返す関数
- ASINH関数 – 双曲線正弦関数(sinh)の逆関数を返す関数
- ACOSH関数 – 双曲線余弦関数(cosh)の逆関数を返す関数
- LN関数 – 自然対数(底e)を求める関数
8. まとめ
ATANH関数は、双曲線正接関数 tanh の逆関数を求めるための関数であり、
数値解析や統計処理、工学的なモデリングにおいて役立ちます。
定義域(−1〜1の間)に注意して使用する必要があります。
9. 対応バージョン
ATANH関数は、Excel 2003以降のすべてのバージョンで使用可能です。
Microsoft 365、Excel for Mac、Web版Excelにも対応しています。