ATAN2関数 – 数学/三角

ATAN2関数 – X座標とY座標からアークタンジェント(逆正接)を返す関数


1. 使い方と活用例

ATAN2関数は、直交座標上のX座標とY座標を指定して、原点からその点へのベクトルの偏角(角度)をラジアン単位で返す関数です。
第1〜第4象限すべてに対応しており、方向角の判定や角度計算などに広く使われます。

2. 基本の書式

=ATAN2(X, Y)

3. 引数の説明

  • X – ベクトルのX成分(横方向の値)。
  • Y – ベクトルのY成分(縦方向の値)。

4. 使用シーン

  • 座標から角度を求めたいとき(例:ゲーム開発、ロボットの回転方向)
  • 2点間の相対的な方向(方位角)を求めたいとき
  • 三角形やベクトルの計算に角度を用いる場合

5. 応用のポイント

ATAN2関数は、通常の ATAN(Y/X) に比べて符号と象限を正確に反映するのが特徴です。
たとえば (X, Y) = (1, 1) は第1象限なので角度は約 0.785ラジアン(45度)、(X, Y) = (−1, 1) は第2象限なので角度は約 2.356ラジアン(135度) となります。
ラジアンを度に変換するには DEGREES 関数を使用します。

6. 具体例とその解説

=ATAN2(1, 1)

X=1、Y=1 の場合、45度に相当する 約0.785ラジアン が返されます。

=DEGREES(ATAN2(-1, 1))

X=−1、Y=1 の場合、第2象限の方向を示す 約135度 が返されます。

=DEGREES(ATAN2(0, -1))

X=0、Y=−1 の場合、ベクトルは真下方向を向くため、角度は 270度(= −90度)として表示されます。

7. 関連関数の紹介

  • ATAN関数 – 単一の数値に対する逆正接(arctan)を返す関数
  • DEGREES関数 – ラジアンを度に変換する関数
  • RADIANS関数 – 度をラジアンに変換する関数
  • SQRT関数 – X²+Y² の平方根を求めてベクトルの大きさを計算する関数

8. まとめ

ATAN2関数は、X・Y座標から正確な方向角(ラジアン)を求める関数で、象限を区別して角度を返すため、通常のATAN関数よりも高精度な角度演算が可能です。
ベクトル処理や座標計算の基本ツールとして非常に有用です。

9. 対応バージョン

ATAN2関数は、Excel 2003以降すべてのバージョンで使用可能です。
Microsoft 365、Excel for Mac、Web版Excelでも対応しています。